登山の雨対策

レインウェア選びと雨対策


雨に備えた事前準備・心得


レインウェアなどの雨具は、登山では必須装備。

登山当日が雨予報でないからといって、雨具を持って行かないのはNG。山の天気は変わりやすく、急な雨に遭うことも想定し、必ず持参しよう。

 

雨や汗によって着ている服が濡れてしまい、そのまま強い風にさらされると、体温が奪われて体力を消耗し、場合によっては低体温症になる恐れも。

 

また、雨具はすぐに取り出せるよう、天蓋やザックの上部などに収納することを心掛けよう。

 

ザックの中身を雨から守るため、ザックカバーなどを使い、雨の侵入を防ぐようにする。

⇒雨対策パッキング方法は、

「上手なパッキング方法」をご参照ください。

 

低体温症についてはこちらをご参照ください。

 


レインウェアの選び方


レインウェア購入時は、以下の点をチェック!

 

登山で使用するレインウェアは、ジャケットとパンツが分かれた上下セパレートタイプを選ぶようにしよう。レインコートやポンチョは、動き難く、風にあおられやすいので登山には不向き。

 

登山では体を濡らさず、冷やさないことが重要なので、レインウェアは雨を防ぐのと同時に、衣服内の水蒸気を逃してくれる透湿性に優れたものが必要となる。防水性と透湿性に優れた素材の代表は、GORE-TEX®(ゴアテックス)。

ゴアテックスは、夏場の防寒具や風よけとしても活躍するので1枚あると有効活用できる。

 

最近ではゴアデックスと同様な素材が各メーカーからでているので、防水性と透湿性の機能を備えていればゴアテックスにこだわることもない。

 

また、レインフェアは、登山靴を履いたまま履くことになるので、裾の部分がジッパーで開閉できるものがよい。さらに、ベンチレーター(換気口)のあるものは、熱を逃すことができるので、その有無もチェックポイント。

 


その他雨対策グッズ


レインウェア以外の雨対策グッズとしては、

 

帽子

多少の雨であれば帽子が頭部の濡れを防いでくれる。帽子は頭部の保護、紫外線の防止などの役割に加え、雨対策としても重要なアイテム。帽子にも、ゴアテックス素材を使用したものがある。

 

スパッツ

スパッツは泥避けのほか、靴の中に雨水が浸入するのを防ぐ機能もある。

 

グローブ(手袋)

保温機能やけが防止機能のほか、雨からの濡れを防いでくれる。滑り止めつきの手袋であれば、雨に濡れた梯子や鎖などの鉄製のものに捕まった際にも有効だ。

 

登山の場合、両手を開けておく必要があるので、通常は傘は使用しない。ただ雨が降り続くような場合、冷えや消耗を最低現に抑えることも出来るので、凹凸の少ない比較的平坦な安全な道であれば、利用することも可能。登山用の軽量な折り畳み傘などがある。

 

これら防水グッズは、使用後、洗濯のあとには必ず撥水スプレーを利用することも忘れずに!

 


山で雨に降られたときのリスク対策


登山中に雨に降られたときのリスク対策について

雨による濡れ、風や雷、視界不良など様々な影響か考えられる。

 

低体温症への恐れ

森の中では多少の雨では危険性は少ないが、森林限界になると、遮るものがなく、風をもろに受けるため、濡れによる低体温症の恐れが高まる。雨の時は森林限界にでることを避けるか、でる場合には状況判断が求められる。

 

雷に注意

雨のときは、発達した積乱雲により雷の被害が考えられる。遠くで雷の音が聞こえたときは、風向きによってはあっという間に雷雲が近づくことも。森林限界ではそのリスクはより高まり、森の中でも雷の被害は考えられ、どこにいても雷の対処は求められる。雷警報・注意報が出ているときは、早めに行動を切り上げて安全地帯(最寄りの山小屋など)に避難するのが賢明だ。

 

視界不良

視界不良による道迷いや滑落の恐れも考えられる。

 

スリップ注意

雨のため足元も滑りやすくなり、特に岩や木道、木の根っこなどは滑りやすいので注意が必要だ。

 

落石注意

地盤が緩むことによる、落石、土砂災害も考えられる。

 

増水注意

渓流沿いの道や、渡渉するような登山道は、増水や鉄砲水なども想定され、出来るだけ沢には近づかないのが原則。

 

脱水症状の恐れ

雨に降られると、蒸しばんで汗を大量にかくため、長時間歩いていると脱水症状になることも想定される。雨の日でも水分補給を忘れずに!

 

雨の時は予定を変更する判断も必要。標高が低い山や短い行程に変更することも検討しよう。

 


雨の日の登山の楽しみ


雨のリスクを十分理解した上で、多少の雨なら、低山であればそのリスクも低減される。

雨の日に敢えて山を歩くことは、突然の雨のときにも慌てずにすみ、登山力の向上につながることも考えられる。

レインウェアが雨で濡れると動きにくい、蒸れる、暑いなどの感覚も体験でき、足元が滑りやすいときの歩き方の工夫、パッキングや防水対策の重要性なども知るよい機会とも捉えられる。

 

私は雨の日に山を歩くことは嫌いではない。

雨の中を傘も差さずに歩けるのは、登山のときぐらいで、童心に返ったような気分になる。木々の緑やコケの緑が雨により鮮やかに、瑞々しくなる。雨のときにしか見られない景色や幻想的な雰囲気を味わえることも。

 

雨を否定的に考えずに、是非肯定的に捉えて山歩きを楽しもう!