冬山の疾病リスクへの予防策


登山で気をつけたい3つの冬山リスク


冬山登山で気をつけたい3つの疾病リスク、凍傷と低体温症、紫外線障害(雪目)について、その予防策についてまとめています。予防策は、計画段階からはじまり、装備や行動中の留意点にまでおよび、登山前に事前に知っておく必要があるでしょう。

 

凍傷


症状

低温環境に長時間さらされ血行障害を起こし、皮膚や組織が凍結した状態になり、さらに組織が破壊されたりする局所的な障害。血行障害を起こした部分は血管の収縮により痛みを感じたり、赤く腫れたり、感覚がなくなったりする。さらに進行すると患部が白くなり、水疱が現れる。凍傷になりやすい部位は、手足の指先、耳や鼻、顔面など冷たい外気にさらされる部分が多い。

 

予防策

装備の準備

・手袋はウェアと同様にレイヤリングの考え方でインナーとアウターを用意する。一帯型のものでも可。

・靴下は速乾性と保温力の高い雪山用のものを使用する。

・登山靴や靴下は足先に余裕のあるサイズを選ぶ。

・手袋や靴下、下着のスペアを用意する。

・暖かい飲み物を持参する。

・冬は防寒のためにも冬用のスパッツを用意する。

・簡易性カイロの持参。

登山中

手袋の濡れには細心の注意をはらう。

・靴下の濡れには絶えず留意する。

・ニット帽、目出帽、ネックゲーターなどで耳や首など露出部を覆う。

・首や手首、足首の防寒、防風対策に留意する。

・風が強い時は顔周辺は目出帽(バラクラバ)やフードで隠し、風や雪が直接当たらないようにする。

・濡れた手袋は早いタイミングで取り替える。

・血行を良くするために手足の指先を時々動かすようにする。

・登山中は冬でも水分を十分に摂取する。冬でも汗をかき水分が奪われるので暖かい飲み物を飲むよう留意する。

・悪天の場合は行動を中止する。

 

(参考)詳細や対処方法はこちら⇒MSDマニュアル家庭版(凍傷) 

 

低体温症


症状

低い気温と濡れや風により体温が奪われ、深部体温が正常範囲より低下したときに起こる様々な症状。深部体温が35度以下の時に低体温症と診断される。症状は、震える、歩行が遅くなる、よろめく、判断が鈍る、口ごもる、意味不明な言葉を発する、錯乱状態になる、転倒する、意識が薄れる、歩行困難、意識を失う、瞳孔が開く、呼吸・脈が減少、昏睡状態、心肺停止へと進行する。

「震え」が低体温症の一歩手前のシグナル。

 

予防策

濡れ、風、空腹、疲労への対策が求められる。

 

装 備

・防寒・防水・透湿性対策(断熱性・防水防風性、頭・首の保温)

雨や雪による濡れ、汗による衣服の濡れを防ぐウェアの着用。

こちらもご参照ください⇒冬山装備についてはこちらをご参照ください。

フリースなど重ね着ができる衣類の持参。

・手袋、ニット帽の着用。

登山中

・暴風雨・暴風雪での行動、吹雪や雨の時の森林限界での行動は避ける。

・雨雪や汗による衣服の濡れに注意する。

・ニット帽・フードをかぶる。

・空腹状態にしない。高カロリー食と水分を摂取する。

・濡れた体で風に吹かれない。(強風下での行動は避ける)

・疲労させない。(強風下での疲労)

・悪天候では登山を中止する。

 

(参考)低体温症の対処方法はこちら⇒MSDマニュアル家庭版(低体温症)

 

紫外線障害(雪目)


症状

雪面で乱反射した紫外線により角膜に傷をつけ急性炎症を起こし、目がごろごろして涙がでる、目が真っ赤になって痛くなるなどの症状。

 

予防策

準備品

・サングラス(ゴーグルでも可)や紫外線ケア用目薬の持参。

登山中

・目全体を覆うサングラスの着用。

・曇っていてもサングラスを着用する。