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蝶ヶ岳・残雪期の三股コース

残雪期ならではの蝶ヶ岳登山コース

蝶ヶ岳 残雪期登山 コース ガイド
残雪期の蝶沢ルート(2024/4/23)

穂高連峰・槍ヶ岳の大展望所として残雪期も人気の蝶ヶ岳。北アルプスの雪山登山の入門編ではあるが、三股登山口からのコースは、この時期やや難易度が高くなる。三股登山口へのアクセスは、林道の通行止めが解除される4月20日前後からとなる。開通当初の積雪がまだ多く残る時期は、三股コースは一部夏道とは異なるルートとなり、残雪期ならでは面白さがある。

 

残雪期だけの蝶沢ルート


蝶ヶ岳 残雪期コース ガイド
この時期の三股登山口付近の様子

この時期は登山口にはもう雪はなく、途中までは夏道どおりに辿るので、以下の夏山登山コースを参照されたい。

蝶ヶ岳 三股コース

 

 

 

 

蝶ヶ岳 残雪期コース 登山 ガイド
まめうち平

三角点のある1916m「まめうち平」までは、この時期ところどころに残雪が残る程度で夏道が出ている。

 

まめうち平以降は夏道は隠れ、全面積雪となる。まめうち平からはしばらく平坦な地形が続く。

 

 

蝶ヶ岳 残雪期コース 登山 ガイド
蝶沢の位置は、この道標が出ていればよいが、雪に埋もれている場合は地形から判断することになる。

しばらく行くと少し急な斜面を登るようになり、その後斜面をトラバースしていくと小さな沢(沢と言ってもこの時期水が流れている訳ではなく、ルンゼ状の地形)を横切り、次に大きな沢(ルンゼ)に出合う。これが蝶沢である。右手方向に常念岳が見え見通しの良いところだ。夏道はここを横切りトラバースしていくが、残雪期ルートはここから夏道を外れ、南方向に伸びる蝶沢のルンゼを覆う雪の急斜面を遡行することになる。

 

蝶ヶ岳 残雪期登山 ガイド
雪に覆われた蝶沢を遡行する、

標高差で250mほど登っていくと、沢は二俣に分かれ、右股をすすむ。この右股が本コースで最も急なため慎重に登りたい。

この右股を標高差で50mほど登るとやや平坦な場所に出てひと息つける。

蝶ヶ岳 残雪期 ルート
二股の様子 左は雪が割れ水が流れていることも。右股の急なルンゼを登る。
蝶ヶ岳 残雪期登山 ガイド
広い雪の斜面2350m付近

ここから更に南西方向に伸びるルンゼ状の広い雪の斜面を登る。標高差で約200mほど登るとやっと傾斜が緩やかになる。

蝶ヶ岳 残雪期登山 ガイド
傾斜が緩んでもあくまでもルンゼ状の地形を進む。

斜面が緩んでもルンゼ状の地形を進んで行く。左上部からは雪庇が張り出しているので、沢形のやや右側の高いところをトラバースぎみに進む。

 

やがて大滝山からの登山道と合流することになるが、この時期は雪に覆われ合流していることには気づかない。

 

さらに大滝山からの登山道と三股からの登山道の合流地点を迎えるがここも雪に覆われているのでわからない。

 

最後は少し急な雪の斜面を上がると、ハイマツ帯が見えてくる。この時期稜線の登山道には雪はなく、夏道を辿り蝶ヶ岳ヒュッテのテント場に出る。

 

右手には蝶ヶ岳ヒュッテ、左前方の蝶ヶ岳山頂は目と鼻の先だ。

 

蝶ヶ岳 残雪期登山 ルートガイド
ハイマツ帯がでてきたら夏道にあがる。

<コースデータ>

コース:三股駐車場~登山口~まめうち平~蝶沢~蝶ヶ岳山頂~往路下山

標高差:最高点 蝶ヶ岳山頂2677m、高低差約1400m

コースタイム:登り5時間、下り3時間

アクセス:

長野自動車道安曇野ICから約50分。鳥川林道のゲート手前に無料駐車場有り(トイレ有り)、さらに手前に第2駐車場がある。

ガイドからのアドバイス:

・健脚であれば日帰りも可能だが、蝶ヶ岳ヒュッテに泊り、翌日、蝶槍を往復して下山するのが一般的。

・残雪期は夏道は雪に覆われ、さらに夏道を外れ蝶沢を遡行することになるので、地図読みとルートファインディングは必須。

・急な雪のルンゼの登下降があるので、しっかりとしたアイゼン・ピッケルワークが求められる。

・このルートの残雪期登山適期は、蝶ヶ岳ヒュッテが営業開始する4月下旬頃がおすすめ。融雪がすすむと蝶沢ルートの通行は困難になる。

※残雪期に登るのは、三股登山コースを夏山で歩いたことがあるのが前提。残雪期はコースを熟知した熟練者との同行をすすめる。自信のない方は、上高地からのコースへ。⇒徳沢からの蝶ヶ岳登山コース

 

蝶ヶ岳 雪山登山 ガイド
残雪期の蝶ヶ岳 三股コースマップ
蝶ヶ岳 登山 ツアー
稜線に建つ蝶ヶ岳ヒュッテ
蝶ヶ岳 三股コース 残雪期 ルート ガイド
この時期には登山口付近ではキクザキイチゲの群生が見られる。
蝶ヶ岳 残雪期 ルート
この時期のライチョウはこんな感じ。